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ビタミンEのこと(後編)

ひまわり畑
ひまわり畑

ビタミンEの話(前編)の続きです。

ハニーガールオーガニクスがクリームに配合しているひまわり種由来の天然ビタミンEオイルは、残念ながらオーガニック認証は受けていません。なぜならオーガニックビタミンEオイルというものがこの世に存在しないからです。ハニーガールオーガニクス本部の担当者に聞いたところ、「オーガニックビタミンEオイル」と謳っている製品はあるのですが、「じゃあオーガニック認証を見せて」というと出せないか、オーガニック認証をクリアするためにホホバオイルやオリーブオイルが大量に配合されていて、というかそっちがほとんどで、ビタミンEがほとんど入っていないかのどちらかだそうです。

ではなぜ、オーガニックビタミンEオイルが存在しないのかというと、それはひまわり種子からオイルを抽出する過程でヘキサンという物質が溶媒として使われるからです。

ヘキサンって何なのよ?ということでウィキペディアを見ると

「ヘキサン (hexane) は、有機溶媒の一種で、直鎖状アルカンである。常温では無色透明で、灯油のような臭いがする液体。水溶性は非常に低い(20℃で13 mg/L)。ガソリンに多く含まれ、ベンジンの主成分である。」

とあります。ガソリン? ベンジン?!

環境省のサイトに掲載されているP D F には、ヘキサンの用途は「本物質の主な用途は、食用油脂抽出溶剤及び接着剤溶剤、塗料、インキなどの各種溶剤で ある 」と書いてあります。食用油脂を抽出するための溶剤、なのですね。

そんなもの、使わないでオイルを抽出できないの? ということで、オイルの抽出法についてみていきましょう。植物から油を抽出する方法は、大きく分けて圧搾法と溶剤抽出法があります。圧搾法は低音圧搾法(コールドプレス)と高温圧搾法に分けられます。

まったく残念ながら、低音圧搾方では植物に含まれるオイルの2割程度しか取れません。そして高温圧搾方でひまわりの種を圧搾したら、その過程でビタミンE(トコフェロール)の抗酸化作用が損なわれてしまうのです。

でもでも、ヘキサンなんて〜、ベンジンの主成分なんでしょ〜? と思いますよね。そんなヘキサンなのにオイル抽出に使うことが許されている理由は、ヘキサンが使われても、その後の「脱臭工程」という工程で除去されるから。

現状でベストの選択

USDA(米国農務省)の中にオーガニックに関する監督庁としてナショナル・オーガニック・プログラム(NOP)という部門があって、オーガニック農産物の生産に使ってよい物質と使ってはいけない物質のリスト(The National List of Allowed and Prohibited Substances)を作成しています。このリストで、ヘキサンを溶剤として抽出されたビタミンEオイルは使って良い物質に認められています。

このリストのオフィシャルな紹介文には、「一般的に、合成物質は個別に認められる場合を除いて使用が禁止されており、天然の物質は個別に禁止される場合を除いて使用が認められる」と書かれています。ヘキサンは合成物質なのに、使用が認められているわけですが、その主な理由は、ヘキサンが最終的には完全に除去されること。そしてもう一つの理由は、もしヘキサンを溶媒として使ったオイルを認めなかった場合、ビタミンEオイルを天然防腐剤として使うことができなくなり、そうすると、せっかくオーガニックの食品や化粧品を作っても、日持ちをよくするためにはケミカルな人工防腐剤を添加する以外に方法なくなってしまうからです。ハニーガールオーガニクス本部の担当者によれば、食品業者などがその点をN O Pに訴えて、認められたという話です。

まとめると、ビタミンEは抗酸化作用が高いため、オーガニックな食品や化粧品に天然の防腐剤として使用されている。ハニーガールオーガニクスがクリームに配合しているビタミンEオイルは、製造過程でヘキサンという溶媒を使っているためにオーガニック認証を受けていない。ただしヘキサンは後の過程で除去されているし、「オーガニック農産物の生産に使ってよい」と認められている。現在のオイル抽出技術では、天然ビタミンEオイルはヘキサンを溶媒とした抽出したものがベストであり、オーガニック認証ビタミンEオイルというものは存在しない。

お断り:この記事はビタミンEについて個人的に調べたことをまとめたものです。化学の専門家ではないので、もしかしたらおかしな記述があるかもしれません。お気づきの方はyumikoあっとhoneygirlorganics.jp までお知らせください。

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